2009年12月7日月曜日

資格試験の効用(2009年12月4日、日刊渡辺洋一への補足説明)

先日の渡辺のブログ「12月4日 MOS 」と題された記事に、
弊社の石川が上手いこと申しておりましたが、
検定・認証・資格の類は、共通語であると。
と書かれていた。

渡辺は私の言いたいことを理解してくれているために、このような簡潔な表現を用いてくれたのだが、
渡辺のブログの読者の皆様に誤解を招くといけないので、
上記渡辺の記述内容について私から補足説明をさせていただきたい。

なお、以下、「検定試験」「認証」「資格」をひとまとめにして「資格」という表現を使わせていただく。

資格には2つの効用があると考える。
1つ目は、能力(知識・技能)の目安としての効用。
2つ目は、言語・用語を共通化する効用だ。

1つ目の能力(知識・技能)の目安としての効用は、一般的な資格取得の意義・目的と考えてもらってよい。
例えば、日商簿記検定試験3級の合格者は、
日本商工会議所の定める商業簿記3級の出題区分表(PDF)に記載された知識と技能について、
ある程度理解しているということが、日本国内どこへ行っても同じ基準で証明・評価される。
そういった「能力(知識・技能)のものさし」としての共通語という意味だ。

ただし、この場合、評価をする側が、その資格の内容を理解していないと、
正当・公正な評価はされない恐れがあることに注意が必要だ。

これも例を挙げると、ある町工場で経理職を募集するケースがあるとして、
社長さんは日商簿記検定の内容を知らないとする。

そこで日商簿記3級を持っている応募者を採用したものの、
日商簿記3級には工業簿記が試験範囲に含まれていないことを知らず、
職務要件を満たせないというような場合だ。

2つ目の言語・用語を共通化する(統一する)効用。
これは意外と見過ごされがちだが、効果は大きいと考えている。

どこの会社・団体にも社内用語や、業界用語があると思うが、まさにそれだ。
資格試験の勉強をするのには、この「用語の統一化」という効用がある。

例えば、品質管理などで使われる「無試験検査」という単語。
もしかすると、字面から「試験をやらなくてよい」と考える人がいるかもしれない。
無試験検査の本当の意味は、「品質情報・技術情報に基づいて、サンプルの試験を省略する検査」であり、
「試験をやらない」のではなく「品質情報・技術情報」を読み取るという重要なステップがある。

このような用語の曖昧さを、社内または社外の人と共通化するのに、
資格試験を勉強するのは非常に有用なのだ。

用語の統一化を図るのであれば、本で用語だけ覚えればよくて、
資格を取得する必要はないんじゃないか、というご意見もあろうかと思われる。

私はこのような意見を否定する気はない。
重要なのは常に向上心を持って学習をし続ける姿勢であって、学習の結果は実践(実戦)の場で披露すればよい。

ただ、どうせ学習をしたのだったら、その理解度を測定するために実施される試験を受けてみてはどうか。
また、せっかく受験をする気になったのだったら、
ただ受験して帰ってきましたという思い出だけよりも、合格証書の1枚でももらったほうが気持ちがよい。

私はそのように考えている。

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