今日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=86円29銭まで急上昇した。
この高値は14年4ヶ月ぶりだという。
14年前、つまり1995年の円高のことは、今でもはっきりと覚えている。
長くなるかもしれないが、思い出話をさせてもらう。
私は当時、高校3年生。
大学受験は控えていたものの、バンド活動にも熱を上げていた。
その当時、以前の記事で書いたキーボード・ミヤ(現:宇都宮ライナス)とともに、
入り浸っていた楽器屋が、オリオン通りにあるBACK BEATだ。
楽器屋への入り浸り遍歴で言えば、キーボード・ミヤよりもBACK BEATのほうが歴史が古い。
話が遡ること更に1年前。高校2年生の夏休み前くらい。
The Beatlesにハマり初めたギターの腕前は、
ようやくギターのコードストロークが出来る程度だった。
BACK BEATがオープンしたのはちょうどその頃だ。
The Beatlesの専門店がオープンしたと、中ちゃんのお母さん伝いに知った。
楽器屋には、特有のとっつきにくさがある。
楽器を弾かない人には面白くもなんともない場所であるし、
腕前に自信がないと、あるいは、店員さんと仲が良くないと、
試奏をすることすら許されないかのような独特の雰囲気だ。
前述のような程度の腕前であった私は、
バンドマンの先輩である中ちゃんが、やはりオリオン通りにあった新星堂(現在は閉店)へ行くのを付き合ってほしいという時ですら、微妙に拒否していた。
しかし、The Beatlesの匂いをプンプンと漂わせる店となれば話は別だ。
The Beatlesの話をたくさんしたかったし、
本当はギターについてだって(The Beatlesの曲に限った話だが)、知りたい事はたくさんある。
今でこそ、インターネットで調べれば、楽譜やギターの弾き方を知る事ができるし、
果ては当時のライブ映像の動画などを観て、ミュージシャンがどうやって弾いているのかを簡単に観ることができる。
当時はそんな時代ではない。
それで私は、積極的に店のオーナーである松井店長とコミュニケーションを心がけた。
松井店長は、今にして思えば本当に商売上手な方なのだと思うが、
まだ購買歴のない(即ち、客ではない)私に、本当に懇切丁寧にギターの弾きかたを教えてくださった。
「こうやって弾くと、ジョージ(George Harrison)っぽいニュアンスがでる」とか、
「I feel fineは、ハイポジションのDのまま、小指だけを動かして、全部アップピッキングで弾く」とか。
それからギターとアンプを購入し、ちゃんと「客」になった私は、
もっと図々しく毎日のようにBACK BEATに入り浸った。
高校3年生になってからは、一応受験生であるため、
大学合格までは楽器屋に出入りするのを極力控えるようにしていた。
それからしばらくして、円高が進み、1ドル=90円台に突入した頃。
PlayerやGuitar Magazineにデカデカと広告を掲載するような大手楽器店が、円高差益還元セールを行っていた。
当時、憧れていたFender USAのVintage Series。(いわゆるヴィンテレやヴィンスト)
売価で10万円台後半だったものが、唐突に10万円台前半~半ばまで値下がりした。
私は、単純に「Fender USAやGibsonのギターが安く買える=円高バンザイ」くらいにしか思っておらず、
1ドルが何円なのか知らなかった。興味も無かった。
ある日、私と中ちゃんは久しぶりにBACK BEATを訪れた。
中ちゃんが、「いやー、いくらくらいまで円高が進むんですかねー」みたいなことを松井店長に聞いた。
それに対し、松井店長は、「多分、80円台までいっちゃうでしょ」と答えた。
その時は、「ふーん、そうなんだ」程度に聞き流したが、
数日後、朝刊の見出しで1ドルが80円台に突入したという記事を目にした。
それからは、毎日のようにニュースの為替相場を気にするようになった。
もっと円高が進めば、もっとギターが安くなると思っていたからだ。
何がきっかけで興味の対象が広がるか本当にわからない。
ただ、為替相場に興味を持つようになったのは、趣味の延長線上からだったので、忘れようもないのだ。
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同じく、円高になるとギターが安くなる、そしてその舞台がBackBeatであること、同じ思いです。
返信削除こんな思い出を共有してるのもおかしいよね。
今回の円高はちょっと理由が思いつかないのが怖いんだけど
まぁまた下がったらギターを買って消費を増やし、景気に貢献できるだろう!
とちょっとだけ成長しているようで成長していない自分
じっと手を見る
私もバックビートファンでございます。本日、社長に『日刊 石川 学』の事、お話いたしました。石川さんの御成功喜んでおりますよ!帰省の際、お寄りしてはいかがでしょうか?
返信削除匿名さん、ありがとうございます。松井社長が覚えてくださったことが何より嬉しいです。年末帰省した際に立ち寄ってみます!ありがとうございました。
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