2009年6月15日月曜日

住吉と就職活動の思い出(その1)

午後、都営新宿線に乗って菊川へ行った。

菊川へは年に何度か来るが、
下車するたびに隣駅の住吉の字が目にとまってしまう。

就職活動をしているときだった。

第1志望の企業群の選考に落ちてしまった私は、
乱暴な物言いになるが、まず1つ内定が欲しくてたまらなかった。

だから、業界や企業規模などは二の次で、無節操にエントリーしていた。

そんな中、とあるそこそこ大きな専門小売店の二次選考が、
住吉駅近くの江東公会堂(現ティアラこうとう)で行われた。

世はまだインターネット黎明期。

一次選考通過のお知らせを兼ねた二次選考の案内の”封書”が、
当時一人暮らしをしていたアパートに届いた。

封を開けると、二次選考の場所と日時に加え、最後に、
”当日は普段着でお越しください。”と書かれていた。

普段着で来いと言われても、就活生は、焦る。
会場に行ってみたら、みんなスーツだったらどうしよう、とか。
私服で人となりを判断しようとしているのか、とか。

散々悩んだ挙句、私はボタンダウンシャツにジーンズ。
それと、スニーカー。

スニーカーとは言っても、アディダスやプーマやコンバースのようなスポーツ由来のものではなく、
クラークスのようないわゆる”カジュアル靴”で会場に赴いた。

アメリカの映画に出てくる大学生のようないでたちだったといえばわかってもらえるだろうか。
品があるといえばあるかもしれないが、一言でいえばただの地味。そんな服装である。

自分自身もそうだったが、就職活動中の学生は、
「○○時に来てください」と言われると、その30分前に来てしまうことがある。

この日もそうで、私が開始時間の30分前に選考会場(江東公会堂の会議室)に着くと、すでに学生で溢れかえっていた。
ぱっと見たところ、8割がカジュアル。2割がスーツ。

私は、ほっとした。

私が待合室の長椅子に腰掛けて、開始まで余りある時間を持て余していると、
隣に座っていた学生が話しかけてきた。

彼はスーツ姿だった。

彼は簡単に自己紹介を済ますと、私に「やっぱり私服じゃないとまずかったかな」と聞いた。
私は何と返答したか覚えていないが、ちょっと会話をした後に、
彼は私に「ちょっと荷物見ててくれないかな」と言うなり、バッグから袋を取り出し席を立った。

数分後、彼は私服で戻ってきた。

二次選考の始めに、今後の選考スケジュールの説明があった。
要約すると、この二次選考で半分程度に絞り、三次選考でさらに半分に絞り、四次選考で終わり。

四次選考は役員面接(社長面接)だから、次の三次選考を通過すれば、
内定をしたも同然だった。

二次選考が終わった後、せっかくだからということで、彼と駅前のモスバーガーで昼食をとった。
別れ際に電話番号の交換をした。

後日、私はこの二次選考を通過し、三次選考で落ちた。
彼は三次選考を通過した、と聞いた。

私服を持っていくくらい、たいした手間ではない。
大して重いわけでもないし、大荷物になるわけでもない。

そのくらいのことを手間と思わないこと。そして臨機応変な対応。
それができる彼とできない私。

どっちが小売店にむいているかと考えれば、それは当然彼だ。

もちろん、彼が三次選考を通過し、私が落ちた要因はそれだけではないだろうが、
面接においても彼は、持ち前の臨機応変さを発揮したことだろう。

「本命」ではなかった。とはいえ、強烈なショックを受けた。
「だからお前はダメなんだ」と、声無き声に責め続けられた気がした。

関連エントリ:
カップ麺とピンク・フロイド - 2009年4月16日

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