2009年4月14日火曜日

ジュンク堂書店と奥田さん

銀行での用事を済ませた後、買いたい本があったのを思い出しジュンク堂書店に寄る。

舐め回すように書棚を眺め、
何かを求めるように素早く一冊の書籍を手に取る。

この時季のジュンク堂書店内にはそんな動作を繰り返す新社会人の姿が多く見られる。
今日もそうだった。

未知の世界に飛び込み、向学心に燃えているのかもしれない。
すでに学生時代とのギャップに戸惑い、その不安を埋めようとしているのかもしれない。

思い起こせば9年前の2000年4月。
私は池袋に本社を置く株式会社テンダで社会人生活をスタートさせた。

入社して間もない頃、
奥田さんという先輩が私を含む同期4人をこのジュンク堂書店に連れてきてくれた。

奥田さんは私たちをコンピュータ関連の書籍が並ぶ階へ案内した。

”パソコン”のことと言えば趣味でホームページを作ったことがあるくらいで、
Windows、Excel、Word、ホームページ、e-mail、HTMLくらいの単語しか知らない私。
店内に並ぶ書籍の背表紙に書かれた言葉は、もはや暗号でしかない。

何がわからないかわからないから、何を知りたいのかもわからない。
そんな私に奥田さんは一冊の本を薦めてくれた。

図解でわかる サーバのすべて*

サーバ?
これまた私には暗号であったが、私はこの本を素直に購入した。

奥田さんは、ほどなくしてテンダを退職された。

夏が終わる頃、私は早々とプログラマという職種に適性を見出せずにいた。
なんとなくうらぶれた気分で自宅で過ごしていると、ふとこの本に目が止まった。

正直に白状すれば、この本を購入直後は読んで理解してやろうと何度も挑戦したものの、
書かれている内容がチンプンカンプンで気がつけば寝てしまう。
そうこうしているうちに日が経ち、5分の1も読まないうちに投げ出していた。

しかし今回は違った。
多少は知識がついていたのか、意味がわかる。すらすら読める。
「プログラマは諦めよう。」私に新たなきっかけをくれたのがこの本だった。

以降の話は長くなるので、この辺でやめておく。

奥田さんには、この年の暮れに一度だけお会いして以来もう8年以上会っていない。
しかし4月が来る度に、店内でのこの出来事と、奥田さんの優しい笑顔を思い出す。



*現在は、「最新 図解でわかる サーバのすべて」として販売中。(日本実業出版社)
私が購入したのは黄土色の表紙の旧版。

1 件のコメント:

  1. やっぱりA.ASKAの新本を探しに行かれたのですか?

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